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認知症ってどんな病気?

昨今、認知症というワードをテレビなど様々なメディアで耳にすることが多くなってきました。しかしその実態を知る人は少なく、いったいどんな病なのか?認知症と診断されたらどうなるのか?医療従事者や身内に認知症の方がおられる方はご存知かもしれませんが、意外と知っているようで知らない病気なのではないでしょうか?今回は、認知症とはどんな病気なのかを深堀りしていきたいと思います。

 

認知症ってなに?

 

現代でいう認知症という病気は、昔は痴呆症と言われており、その世代の方は痴呆症という病名の方が聞き馴染みがあるかもしれません。最近はテレビにもでていた有名な方が認知症になった、という情報や身近な人が少し認知が入り始めた、などという言葉も以前より耳にするようになった気がします。この背景には、日本の高齢化率の増加による社会問題も影響していると考えています。

 

 

認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により認知機能が低下し日常生活全般に支障が出てくる状態です。

2025年(団塊の世代が全員75歳以上になる年)には認知症高齢者数(65歳以上)は、約700万人(推計)にまでのぼるとされており、MCI(軽度認知機能障害)を含めると、約1000万人超になるといわれています(厚生労働省調べ)。世間では5人に1人が認知症という状態でしょうか。

医療に携わる一人の人間として、これは大変な事実です。そしてさらに恐ろしいのは2045年といわれています・・・。

 

認知症には種類がある?

 

まず4つの認知症(アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・前頭側頭型認知症・レビー小体型認知症)について説明していきます。

 

アルツハイマー型認知症とは?

認知症の中では最も割合が高く、全体の約70%を占めるとされています。糖尿病や高血圧症がある方がなりやすいともいわれており、生活習慣の改善が予防の一助になるといわれています。初期では、物忘れのような症状に始まり、進行すると近時記憶から無くなっていき、最終的に日常生活全般にサポートが必要になることもあります。

 

 

脳血管性認知症とは?

アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症とされており、全体の約20%を占めています。脳梗塞や脳出血等の脳血管障害(脳卒中のこと)により脳の血流が阻害され、脳の細胞の一部が壊死してしまうことが原因で発症するとされています。

症状がまだらに変化するような状態から、別名まだら認知症ともいわれています。

脳梗塞や脳出血は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が原因で引き起こされることが多い病気なので、血管性認知症を予防するためには、同じく生活習慣をいち早く見直していくことが最善の予防策となります。症状としては障害を起こした脳の部位に起因するため、様々な症状を来しますが再発を防ぐことにより症状の進行を遅らせることができます(脳卒中による高次脳機能障害やその他の症状については別記事にて解説していきます)。

 

 

 

前頭側頭型認知症とは?

脳の前頭葉、側頭葉という名称の部位が委縮することによって起こる認知症です。50~60歳代の方に多く発症しやすく、多くは10年以上かけてゆっくり進行していくといわれています。この認知症の発症メカニズムには諸説あります。特徴としては、性格が極端に変わることや反社会的行動をとることで知られています(反社会的行動:万引き・悪ふざけ等)。また柔軟な思考が行えず、衛生管理なども難しくなります。周囲に迷惑をかけたり、スケジュール通りに行動できないなどの症状もあり、進行するにつれて次第に物の名前が分からなくなり、発語することが困難となります。

 

 

 

レビー小体型認知症とは?

レビー小体という神経細胞にできる特殊なたんぱく質が脳に蓄積することにより神経細胞を破壊し発症する認知症です。たんぱく質の蓄積原因は未だ解明されていません。症状としては手足の震えや身体のこわばり、歩行障害、幻視、うつ症状など多彩で記憶障害や判断力は症状が変動しやすく、はっきりしている時とぼんやりしている時を繰り返しながら進行していきます。

 

 

認知症にはサインがある!?

ここでは認知症に罹患した際にみられる、特有のサインを確認しておきましょう。

  • イライラして怒りっぽくなった
  • 冷蔵庫に同じ商品が入っている
  • 言い訳をすることが多くなった
  • 風呂に入りたがらなくなった
  • 適当な返事が多くなってきた
  • 食事の嗜好が変わって偏食が増えた
  • 手慣れた料理の味が変わった
  • 部屋が散らかり気味になった
  • 好きな番組を見なくなった
  • 常識的には考えにくいことをする

上記のリストにあるような症状を身近に感じた時は、早めに専門家へ相談をしましょう。

 

 

認知症の主な症状とは?

 

認知症になると、ほぼすべての方が発症するといわれる症状(中核症状という)があります。それは、記憶障害と見当識障害といわれています。

 

記憶障害

人間の記憶にはいくつかの種類があるとされており、ひとつは体で体験することで記憶されるという手続き記憶、そして固有名詞や歴史上の人物など学習することで記憶される意味記憶、最後にその人の独自の経験や出来事で記憶されるエピソード記憶、主にこの3つの記憶で構成されています。

 

日本国内では一番に有病率の高いアルツハイマー病を例に挙げると、まず短期記憶といわれるような最近の記憶を忘れることから始まり、徐々に過去のエピソード記憶(長期記憶)が欠落していくといわれています。

 

 

見当識障害

日時の見当識は、日にちや時間の認識がなくなり、自分では正確な日時が答えられなくなる状態です。

場所の見当識は、いま自分がどこにいるのか、どこに行こうとしているのか、帰り道が分からないなどの症状があらわれる状態です。

 

これらはあくまで中核症状の一部であり、その他にも判断力の低下や日常生活がおくれない、言葉が理解できないなど複数の症状があります。

また、認知症の症状には、さらに悪化した状態の時に生じるとされる周辺症状・行動心理症状(BPSDという)があり、この症状は劣悪環境などによってさらに認知症症状がエスカレートしたもので、暴力や徘徊、妄想や不潔行為など多彩に症状があります。

 

 

認知症に関する誤解について

 

 

正しく知れば怖くない?認知症の3つの誤解とは?

1.認知症は急速に進行する

2.認知症は暴れたり叫んだりする

3.認知症になると何もできなくなる

 

 

上記3つの誤解されやすい内容について解説します。

 

1.よく誤解されがちな内容ですが、一概に急速に進行していく訳ではなく老年性認知症(65歳以上)では平均的には10年ほどかけてゆっくり進行していくとされています。また、認知症の方の周囲の関わりや生活環境、ストレス状態などによっても進行は大きく変化し、進行自体は遅らせることが可能です。

 

2.実際は、誤解の内容とは逆でおとなしくなることが多いです。暴れる、叫ぶというような状況になっている場合は別の原因であることが多く、認知症の方との関わりを持つ中で介護者側の関わり方や考え方を知ることも状況を変える機転になるかもしれません。また、暴力や徘徊などの認知症の進行症状も全体のわずか数%とされており、決して認知症イコールという訳ではありません。

 

3.比較的誰もがイメージを持ちやすい内容かと思いますが実際は、中期前半ごろまで知的機能は正常に保たれることが多いです。また、進行の速度にもよりますが、日常生活は普通に送ることができる方もおられます。何度もいいますが、認知症の進行速度に関しては主介護者の関わり方や認知症の方をとりまく環境によって変化し、影響を受けることが多いといわれています。

 

 

認知症になりやすい人がいるって本当!?

 

認知症になりやすい人には、共通の特徴があるといわれていて、具体的には以下の4つです。

1.性格

他者との交流が多い人はその分だけ脳への刺激が多くなります。それとは相対的に、例えば頑固で協調性が無かったり短気な人は社会的に孤立しやすく、引きこもりがちになってしまいます。また神経質な人や気の弱い人も他者との交流を避ける傾向にあるため、その分人とのコミュニケーションを怠りがちになってしまいます。つまり脳への刺激が減りやすい傾向となり、結果的に認知症を発症しやすいといわれています。

 

2.生活習慣

生活習慣と認知症は切っても切れない関係にあり、特に運動・食事・睡眠の3つは深い関係にあります。それぞれ運動不足や食事の栄養の偏り、睡眠不足などはすべて生活習慣病の因子となり、メリハリのない生活をしていると脳への刺激不足から認知症になりやすいといわれています。また近年スマートフォンの使い過ぎも脳に負担をかけすぎるため、認知機能の低下を招くといわれています。

 

3.病気

認知症は病気が原因で発症するケースもあります。中でも生活習慣病は、より認知症を引き起こす可能性が高いといわれています(生活習慣病ってなに?について別記事で解説しています)。病気の治療で使用される薬の副作用でも、長期的に認知症との関連があるものもあります。このことから、病気を患っていない健康な人は認知症になりにくいといわれています。

 

4.遺伝要素

認知症の原因として、遺伝的要素も関係があるといわれています。たしかに種類によっては特殊なたんぱく質を持つ遺伝子があるのは事実ですが、ケースとしては事例は少なく、ほとんどの場合は生活習慣から起因して発症するものが大半のようです。

家族が認知症になったからといって遺伝を気にする必要はありません。考え方や生活習慣を改善し、認知症の予防に努めていきましょう。

 

 

認知症の治療や予防法とは?

 

現代の最先端医療でも、一度認知症になってしまった方を完治させる治療法は確立されておらず、大切なのは出来るだけ早期に症状を発見し、症状が軽いうちから薬を内服することで認知症の症状の進行を遅らせる関わりを持つことです。

(現時点では、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症に効果が期待されている薬はありますが、脳血管性認知症や前頭側頭型認知症に有効な薬は未だ確立されていません)。

 

 

認知症の進行を遅らせる食べ物

認知症の進行を遅らせるためには、バランスの良い食事を心がけることが大切です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病は認知症の発症や進行のリスクを高めます。日頃からマインド食(高血圧を予防するための食事内容のこと)を心がけることで発症を予防していきましょう。

具体的には、塩分を摂りすぎない・油ものを避け、野菜やナッツ類を積極的に摂ることが大切です。

 

 

認知症の進行を遅らせる脳トレ

脳トレは自分で考え、判断する力を高めるほか手指を動かして脳を活性化させます。具体的にはクロスワードやパズル、塗り絵や折紙、手工芸などの作業活動も脳トレになり、誰でも簡単に取り組めるものが多くあります。様々なジャンルの脳トレを行うことが効果的です。

 

 

 

進行を遅らせるその他の活動とは?

認知症の進行速度はストレスで早まることがあります。ストレスが溜まると脳の血流量が低下し、神経細胞にダメージを与えてしまうためであるといわれています。少しでも自分で考える時間を増やしたり、ストレスを軽減できる環境を整えたり、体を動かす時間を設けたりすることが大切です。

 

 

 

脳の刺激が少なくなることも原因?

脳への刺激が減少することでも脳血流量は減少するといわれています。料理や家事などの活動減少、物忘れ等の失敗で家族から強い指摘を受けることによるコミュニケーション量の減少、介護者が身の回りのことを本人にさせないようにする事などから状態は徐々に悪化していきますので注意が必要です。

 

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?

認知症に関することは知っても知りきれないような感じがしますが、病気になったとしても症状などに左右されず、常に相手の立場に立ってかかわることが大切です。特に認知症は記憶障害という大きな主要症状がありますが、記憶障害が悪化しても感情は残るといわれています。

「その人らしさ」というものを考え、尊厳を持ってかかわり続けることが進行を遅らせる上で非常に大切なことであるといえるでしょう。

 

 

 

これって認知症?自分での判断は危険!

もし身内の方などで少しでも異変に気付いたら、自己判断をせず認知症外来・もの忘れ外来・精神科・脳神経外科の診察をおススメします。

 

 

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