
皆さんも一度は見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか?この関節リウマチという病気は、罹患されていない方はそこまで気にしたことが無いと思いますが、その実態を知ると意外に恐ろしい病気だったりします。今回は、関節リウマチについて対処方法を交えながら解説していきたいと思います。
関節リウマチってなに?
関節リウマチとは、自身の体に免疫反応が起こることにより、関節内を覆っている滑膜(かつまく)に炎症が生じてしまう自己免疫疾患です。
滑膜に炎症が生じると滑膜が増殖して周囲の軟骨や骨を溶かし、長期間にわたって炎症が生じるため関節が徐々に破壊され、様々な機能障害を引き起こすといわれています。
自己免疫疾患とは?
本来細菌やウイルスなどから自らの体を守る働きをする免疫機能が、何らかの異常により自身の体の一部に対して誤って作用してしまう状態。自分の体の一部を自分のものではないと免疫機能が判断し、これに対する抗体を作り出し反応を起こしてしまうもの、などと言われています。
どんな症状が現れる?
主要な症状としては関節のこわばり、関節の痛み、腫れなどの症状が1時間以上も続くという特徴的な症状が見られ、左右対称で特に朝方にこわばりやすい特徴があります。
痛みは全身のどの部位にも生じることが考えられますが、特に手首や指の関節に好発することが知られており、ほとんどの場合一つの関節にとどまらないことが多いです。
進行によって関節が破壊されることにより関節の変形や脱臼、癒合などの関節症状に加えて貧血や微熱、全身倦怠感などの全身症状を合併することもあります。
徐々に進行すると硬くこわばる強直(きょうちょく)、関節の運動が困難となる拘縮(こうしゅく)などの症状を引き起こし、日常生活に大きな支障を来してしまいます。
また、日本では人口の1%程度が罹患しているとされており、どの年代でも発症しますが特に30~40代の女性の患者が多い傾向があるようです。
原因はなに?
上記で説明したような自己免疫疾患であり、本来細菌やウイルスから守ってくれるはずの自分自身の免疫機能が何らかの異常により自身の体の部位に対して働いてしまうという疾患ですが、実は発症に至るメカニズムや詳しい原因は未だに明らかになっていません。
原因の説としては遺伝的、環境的要因などが複数組み合わさって発症するものであると考えられています。
また、環境要因として濃厚だと言われている原因の1つが喫煙で、口腔内の環境悪化(歯周病など)や呼吸器系から感染症などを生じてしまうリスクが高いようです。
治療方法について
原則は基礎療法、薬物療法、リハビリテーション、手術療法となります。治療の選択は病気の進行具合や程度、合併症、日常生活の不自由さなどを総合的に見て判断します。
関節リウマチの進行(関節の破壊)は、発症して2年以内に急速に進行していくことが分かっています。また、一度破壊された関節や軟骨、骨などの組織は元に戻すことが出来ませんので、早期の発見や診断、治療が非常に重要になってきます。
基礎療法
関節リウマチという病気を理解するという点です。適度な運動や安静、食生活などの規則正しい習慣、ストレッチなどの指導に加えて、原因とも考えられている喫煙や歯周病などの指導が行われる場合もあるようです。
薬物療法
関節リウマチの治療の中心的存在とされており、まずは関節の炎症や破壊を抑えたり、寛解を目指す目的で行われます。治療薬として有名な抗リウマチ薬やステロイド、痛み止めなどが検討されることが多いです。
リハビリテーション
理学療法士、作業療法士などの専門家が主に治療を実施します。関節やその周囲の機能改善、運動能力を維持するなどの目的として、リハビリテーションも非常に有効です。関節の変形や保護、日常動作の補助には頸椎カラーや足底板などの装具を使用することもあります。今回はリウマチに有効といわれている簡単なストレッチを後ほどご紹介します!
手術療法
薬物療法などを行っても関節の変形等による関節の機能障害が後遺してしまう場合、手術療法が選択される場合があります。具体的には、人工関節置換術や滑膜切除術、関節固定術、腱断裂・手指・足指の手術、頸椎の固定術などが行われます。
リウマチ体操について!
基本的には毎日行うことが大切です。運動にはストレスを軽減して免疫力を高め、関節が固まることを予防する効果もあります。無理のない範囲で毎日続けるようにしましょう。
指先の運動
- 両手を大きくグー、パー、指の握り開き運動
- 手を開いた状態から指と指の間の開き寄せ運動
- 指先でのつまみ運動(オッケーサインをつくる)
親指から小指まで、指先を力強くつけて丸やキツネ目をつくる
- 手のひらにスポンジを持ち、ゆっくりと握り開きを20回程度行う
それぞれ20~30回程度を適度に休憩をはさみながら行いましょう。
手首の運動
- 手首を内側に曲げ、外側に開く運動
- 右手と左手を組んで、ゆっくり手首を回す運動
それぞれ30回程度、適度に休憩をはさみながら行いましょう。
足の運動
- 椅子に座った状態で、両足を交互に持ち上げる運動
- 両膝の曲げ伸ばし運動
- 立った姿勢で、両足を交互に横に上げ、ゆっくり元にもどす
- 足の指と指の間を広げる運動
- かかとを床に着け、つま先を上げる運動
それぞれ20~30回程度、休憩をはさみながら行いましょう。
もしかして、これって関節リウマチ?
今までにない手のこわばりを感じる、妊娠・出産を考えている場合、原因不明の発熱や空咳、息切れが続く場合、首や脇、足の付け根などにしこりを感じた場合、発疹がでた場合などは、早期発見が重要であり早めに近医への相談が望ましいといえます。
病院で関節リウマチと診断されたら?日常生活上の注意?
症状が強い場合には安静、関節の保護が重要です。症状が落ち着いたら適度な運動やリハビリテーションを行い、運動機能を維持することに努めましょう。
また感染症には継続的に注意が必要であり、喫煙や歯周病などは治療の効果にも影響しますのでしっかり禁煙、歯周病治療も行うことが望ましいでしょう。
痛みが強くでている場合や関節の状態が悪化している場合は、出来る限り関節への負担を軽減していく必要があります。
手に症状が出ている場合を例に挙げると、日常生活の中では雑巾を絞る動作や硬い蛇口をひねる動作、ペッドボトルなどの硬いキャップを開ける動作など、関節に強い負荷をかけて行う作業や動作は極力避けるように工夫することも大切になります。
自助具と呼ばれる、強い力を必要とせずに作業が行える便利道具もありますので、うまく活用しつつ関節の保護に努めましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は関節リウマチに関する病態や簡単に実践できる対処法についてご紹介させていただきました。
人間が生活する上で運動は必要不可欠であり、運動には必ず関節の働きが伴います。少しでも関節の痛みを軽減したり、負担を軽くしたり工夫することで身体機能の健康寿命を延ばしましょう!