
日常生活のなかで重い物を下から持ち上げたとき、顔を洗おうと前かがみになったとき、急に姿勢を変えた時などに突如発生する腰の激しい痛み。仕事はもちろん日常生活にも大きな支障をきたしてしまう、ぎっくり腰。
もし自分がなってしまった場合どうしたらいいのか?今回は、その症状や原因、対処法について解説していきます。
ぎっくり腰とは?
ぎっくり腰とはどんな症状なのか?
正式名称は「急性腰痛」と言います。その名の通り急激に発症した腰痛を指し、整形外科的には「腰部捻挫」という状態になります。ちなみに欧米ではその激しい痛みから「魔女の一撃」とも呼ばれているそう・・・。
原因は・・・?
日常生活や運動時、仕事中などで腰に大きな負担のかかる特定の動作をすることにより、筋肉や靭帯などの軟部組織に負担がかかり、損傷や炎症がおきて痛みを感じている状態になり、損傷した組織や体を動かす動作に関連した組織が、過度に緊張して痛みが生じていると考えられます。
そのため、特定の動きで強い痛みを感じてしまい、組織の損傷が重症化してしまうと痛みで全く動けなくなることもあります。
その治療には、ただ痛くなっている筋肉だけにフォーカスせず日常生活における体の使い方はどうか、腰に負担のかかる姿勢を繰り返していないか、骨盤の歪みはどうか、体幹を支えるインナーマッスルは低下していないかなど、ぎっくり腰の原因を深く追究していく必要があります。
痛みを和らげる対処法について
1.発症直後の対処法
ぎっくり腰の発症直後、痛みが非常に強い場合には、原則腰に負担がかからないような楽な姿勢をとるようにしましょう。
寝る時の姿勢について
・膝を軽く曲げて横向きに寝る
・仰向けに寝て膝を軽く曲げ、膝下にクッションを入れる
・仰向けに寝て低めの台に両足を乗せる
などの姿勢が推奨されます。
2.発症から2~3日後の対処法
昔の治療では、ぎっくり腰を起こしたときには無理な負荷を与えないように、ひたすら安静にすることを勧められてきましたが、昨今は長時間の臥床による体幹まわりの筋力低下が、腰痛の回復を遅れさせてしまうという研究結果が進んできたため、治療法に変化が出てきています。
現在は、発症から2~3日後に痛みが徐々に軽減してきた段階で、多少の痛みであれば我慢して体を適度に動かしていくことをおススメしています。
生活の中でも痛みが強く出ない状態であれば、積極的に起きて通常の生活を送っていくよう努力してみましょう。
一日でも痛みを早く治す、5つのポイント!
1.ぎっくり腰の原因を知ること:痛みの原因となっている筋肉組織を特定することができれば、より早く目的とした筋肉に治療、施術をすることができます。
2.できるたけ同じ姿勢をとらず痛みのない範囲で動く:昔と違い、安静にするより適度に運動をしている方が筋肉や血流などの問題から、回復が早いと言われています。
3.入浴や貼るカイロなどで患部を温める:昔は、ぎっくり腰は炎症だからアイシングが有効だと言われていましたが、筋肉や靭帯は緊張が改善せず、体の動きが良くならないことが報告されています。
強い痛みがでないよう入浴を行ったり、貼るカイロ等を使用することで筋肉や靭帯の血流が良くなり、緊張が軽減し損傷している組織の回復が早くなるとされています。
4.コルセットは出来るだけ使用しない:ぎっくり腰でコルセットの着用も定番ではありましたが、実はコルセットもデメリットがあり、まず装着したとしても痛みの変化が少ない(強い痛みを軽減できる訳ではない)ことに加え、一定期間装着することにより逆に体幹部の靭帯が硬くなってしまったり、柔軟性が低下したり、筋力が低下してしまうことがあります。
5.タンパク質を多く摂る:ぎっくり腰でなぜタンパク質?と疑問に思うかもしれませんが、本来動物は怪我をしたとき自力で傷を治す自然治癒力、なるものを備えています。タンパク質は組織を回復させる大きな材料となり、体の中では大切な栄養素になります。
ぎっくり腰になると食欲不振になることもありますが、タンパク質が多く含まれている食べやすい食品を食べることや、一度に大量摂取するのではなく毎食ごとの食事にタンパク質を少しプラスして摂取するなどの工夫をすることも大切です。
ぎっくり腰をそのままにしない為に
ぎっくり腰になったあと、痛みが治ったからといって自己判断でそのまま放置しておくことはお勧めしません。なぜなら、一時的に筋肉が引き攣って硬くなっているのであれば、「急激な運動や動作」「不良姿勢での生活」「血行不良」などによって再発する可能性は極めて高いからです。
さらに痛みの原因が判明していない状態を放置することで、「腰椎椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」「腰椎圧迫骨折」など、深刻な病状へ進行してしまうこともあるからです。
まとめ
いかがでしたか?
ぎっくり腰は急性症状ですので、長くても3週間ほどで痛みは消失していくことがほとんどですが、痛みを生じなくなっても動きが悪い状態が継続していたり、筋肉や靭帯の緊張が強いまま経過していたり、高負荷な腰への運動を行っている方は再発してしまうこともしばしばあります。
出来る限りぎっくり腰をおこさない、なった場合いち早くその原因を知る、再発しないよう生活習慣を見直すなどの対策をとり、専門家へ相談しながら早期治癒を目指しましょう。